" 高齢者医療 | 医療法人社団 醫光会 駒井病院

認知症について

認知症に対して全面的にお支えしていきます。

人生の中で積み上げてきた大切なものを、だんだん忘れて行ってしまう病気。認知症はそんな脳の病気です。そして認知症は増え続けています。
認知症を予防できないだろうか、
認知症を治せないだろうか、
認知症になっても穏やかに生活したい、
認知症になって家族に苦労をかけたくない、
認知症になっても人としての尊厳は保っていたい…

ご本人にとっても、ご家族にとってもとても辛い病気です。
認知症の治療に、認知症の介護に、
認知症にまつわるいろいろなご相談に
専門的立場でお答えしていきます。

認知症イラスト

 

認知症という疾患

認知症とは、脳や身体の疾患を原因として、記憶力・判断力・人とのコミュニケーション等に障害が起こり、日常生活に支障をきたす状態をいいます。

人は誰でも物忘れをします。年を取っていくとなおさら物忘れはひどくなります。認知症の症状の一つに物忘れがありますが、認知症になると物忘れだけでなく日付や場所の理解ができない、計算ができない、薬の管理ができないなどの症状が出てきます。老化によるものと違い、脳に起こる病気のため社会生活、日常生活が困難になります。進行すると寝たきりや人格崩壊も起こってしまいます。

 

1.認知症と普通の物忘れとは違います。

物忘れは、脳の神経細胞の減少や機能の低下によって起こります。

年齢を重ねるうちにもの忘れが増えるのは脳の神経細胞の減少による老化現象で、誰にでもおこる「もの忘れ」です。一方、この通常の老化による減少よりさらに早く神経細胞が消失してしまう脳の病気が『認知症』です。 認知症は、最初はもの忘れとの区別がつきにくく、ただのボケと勘違いされがちです。しかし、認知症は体験のすべてを忘れてしまうのに対し、加齢によるもの忘れは体験の一部を忘れているという大きな違いがあります。

認知症と物忘れの違い

 

2.認知症はいろいろな原因で起こります。

認知症はいろいろな原因で起こります。脳の病気、心不全や肺炎などの体の病気でも起こります。下記の認知症は「四大認知症」といわれています。

アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は認知症をきたす疾患の中で一番多い疾患です。その原因は不明ですが、脳内でさまざまな変化がおこり、脳の神経細胞が急激に減ってしまい、脳が萎縮して(小さくなって)高度な知能低下や人格の崩壊がおこる認知症です。
脳血管性認知症
脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、その部分の脳の働きが悪くなり、そのため認知症になることがあります。このような認知症を脳血管性認知症といいます。脳血管性認知症は、障害された場所によって、ある能力は低下しているが別の能力は比較的大丈夫という様に、まだら状に低下し、記憶障害がひどくても人格や判断力は保たれていることが多いのが特徴です。
レビィ小体型認知症
レビー小体型認知症はアルツハイマー病に次いで多い認知症で、生々しい幻視がみえる・ 日によって症状に変動がある・パーキンソン症状がみられるというのが特徴です。初期にうつ病の症状が出てうつ病と診断されることもあります。薬物治療の難しい病気ですが早期発見と、適切な治療によって進行を遅らせ症状を和らげることができる認知症です。
前頭側頭葉型認知症
この型の認知症は大脳のうち前頭葉と側頭葉が特異的に委縮する認知症です。この型の中核的病気をピック病といいます。他の認知症は初期症状が記憶障害であるのに対して人格、性格の変化が顕著です。非社会的な行動をとり周囲を困らせることも少なくありません。
 

3.認知症の症状は様々です。

認知症の症状は脳の変化によって起こる中核症状とそれに伴って起こる周辺症状があります。

認知症の周辺症状と中核症状の図(認知症の精神症状と行動症状)

中核症状

記憶障害(記銘力障害・記憶力障害)
新しいことを覚えたり(記銘力)、しっかり記憶しておいたり(記憶力)することができなくなります。古い記憶は比較的保たれています。

見当識障害
見当識とは日時・場所・人などに対する認識がなくなります。現在の日時や今いる場所、今一緒にいる人まで分からなくなってきます。通りなれた道でも間違えて迷子になったりすることもあります。

実行機能障害
段取りを立てたり、計画して物事を行おうとする能力が低下します。気候にあった服が着られない、食事の準備が出来ない、金銭管理が出来ない、交通機関を利用出来ないなどの症状が出てきます。社会活動に参加出来ないなど。

周辺症状 (BPSD:認知症の行動・心理症状と呼ばれています)

幻覚・妄想
子供の姿や動物、亡くなった人が見えたとか、神様の声を聞いたとか、ものが盗まれたとかの幻覚・妄想の症状が出ます。

不安
今までよりもの忘れがひどくなってきているという認識があることは珍しくなく、自分は病気なんだという認識から不安や焦燥などの症状が出現します。また、不安や焦燥に対して防衛的な反応として妄想がみられることもあります。

徘徊
認知症の進行に伴い、自分の家への道など熟知しているはずの場所で迷い、行方不明になったりします。重症になると、全く無目的であったり、常同的な歩行としか思えない徘徊が多くなります。アルツハイマー型認知症に多く、脳血管性認知症では多くはありません。

うつ・意欲低下・感情不安定
何かをする気がなく自発性が低下し、うつ状態になります。また、焦燥感や不安感が強くなるので、感情が不安定になります。

不眠・失禁
不眠は昼と夜の生活リズムが乱れてしまい起きます。昼夜逆転しがちです。また失禁はトイレの場所が分からなかったり、衣類の脱ぎ着に時間がかかるなどの原因があることもあります。

暴言・暴力
ささいなことで怒りだして暴力をふるうことがあります。

介護への抵抗
特に行動を注意・制止する時や、着衣や入浴の介助の際に十分に本人に説明をしなかったりすると介護を拒否しやすくなります。

異食・過食
食べられないものを口に入れる異食がみられることがあります。口に入れるのは、ティッシュペーパー、石けん、植木の葉など中身はさまざまです。食事をしても「お腹がすいた」と訴え何度でも食べる過食がみられることもあります。

攻撃的行動
介護をしていて型にはめようとすることで不満が爆発し、攻撃的になったりします。また幻覚や妄想から二次的に攻撃的になることもあります。

 

駒井病院の認知症診療について

認知症は早期発見、早期治療が大切です。治らないといわれ続けてきた認知症ですが、認知症の治療は大きく変わってこようとしています。2011年春から、さらに新しく三種類の認知症の薬が発売され、期待されているところです。適切な診断・治療・ケアによって認知症は確実に進行を遅らせ、より豊かの生活を送ることが可能になってきております。

駒井病院では下記の要綱で「物忘れ外来」を行い、また認知症の診断・治療・認知症の在宅支援・施設ケアなどの一貫したサービスを行っております。

認知症外来(物忘れ外来)
月~金曜日 午後3時より(要予約) ⇒詳しくはこちらをご覧ください。

認知症相談窓口
外来窓口          掛水
居宅支援事業所       長井
介護老人保健施設相談    狩野

当法人の認知症に対応する施設
介護老人保健施設和光園(認知症専門棟50床)
グループホーム 「ビオラ」「野ばら
認知症対応型通所介護「オレンジデイサービス

駒井病院写真